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(26日、高校野球・春季関東地区大会決勝 白鷗大足利5-4常総学院)
白鷗大足利(栃木)が、全国制覇経験校ひしめく関東で初の頂点に立った。
常総学院(茨城)との決勝は、粘った末にもぎとった勝利だった。最大3点差をつけられたが、七、八回に長打3本が飛び出し、追いついた。
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延長タイブレークの十回表を無失点でしのぎ、直後の攻撃。四球で無死満塁とし、6番小野寺応助が右打席に立った。この日は八回に同点の左越え二塁打を放ち、当たっていた。
1ボール2ストライクからの4球目。相手右腕の球がすっぽ抜けた。死球でサヨナラ勝利となった瞬間、選手たちはベンチを飛び出して喜んだ。
殊勲の小野寺は「痛かったです」と笑いつつ、大会をこう振り返った。
「個人としてもチームとしても、想像以上のパフォーマンスが出せた」
春夏通じて甲子園出場は4度で、2014年春が最後。そんなチームには今、絶対的な柱がいる。
今大会で自己最速の152キロを計測したエース右腕、昆野太晴だ。新チーム発足時は4番打者も担った。小野寺いわく「秋は昆野が投げて打ってで、おんぶにだっこの状態」
秋の関東大会で初戦敗退してから、冬場の課題は明確だった。
「うちはほかの高校さんと違ってスーパーな選手が20人いるわけではない。全員の力を合わせて戦わないと勝てない」とは、直井秀太監督の言葉だ。
野手、投手ともに個々が成長し、昆野の負担を減らすことをめざした。
今大会、その成果が現れた。昆野が先発した際の打順は9番で、4番は全試合で八角勇羽が担った。秋はけがで出られなかった小野寺が復活し、正捕手として攻守で存在感を放った。
投手陣では2試合で先発した右腕の山口幸大が計15回無失点と、エース級の存在に成長した。
決勝は昆野が6回2失点でまとめながらも、球数がかさみリードを許したまま降板。そのままベンチに下がった。
それでも、七回途中から3番手の野沢瑛斗が好投すると、野手陣が奮起した。
現チームがエース頼みから脱却したことを証明した。
東海大相模(神奈川)や帝京(東京)など、実績十分の強豪を破って、堂々の関東王者だ。直井監督は「みんなでつかんだものですね」とたたえ、昆野は仲間への感謝とともに、決意を語った。
「今大会は仲間に助けられた部分がかなりあって、自分の負担も減った。夏は『関東ナンバーワン』と言われるようなピッチャーになって、エースとして甲子園に導けるピッチングをする」(大宮慎次朗)